胚の評価について

新年明けましておめでとうございます。今年もより多くの患者様の笑顔が見られるよう、培養室一同努めてまいります。

さて、今回は胚の評価法について少しふれてみたいと思います。採卵して得られた卵子が受精、分割の過程を経て胚に成長すると、グレードというものを付けて胚の評価をしています。初期胚、胚盤胞それぞれグレードを付けていますが、今回は初期胚のグレードの付け方をご紹介したいと思います。

当院ではVeeck分類の変法を用い、形態的特徴に発育速度を加味しています。

スクリーンショット 2018-01-16 17.52.00.pngのサムネール画像

基準を4細胞期胚とし、割球の均一性、フラグメンテーション(胚の発生過程で、割球の細胞質が不均等に小さく断片化したもの)の量、さらに分割スピードを加味して評価しています。4細胞期胚でフラグメンテ−ションがない場合はグレード1となり、フラグメンテーションの量が増えるにつれてグレードは下がっていきます。また割球に大小不同や空砲があったりすると1ランク下がります。さらに分割スピードも加味するので4細胞期胚より分割スピードが速かったり、遅かったりすると1ランク下がります。例えば4細胞期胚、フラグメンテーションの量110%、割球に大小不同ありの場合はグレード3になります。

いかがでしょうか?採卵をして移植または凍結保存された方は私の胚はどういう状態なのか?グレードは?妊娠の期待度は?...とても気になるところですよね。たしかにグレードが高い胚の方が妊娠の期待度は高くなりますが、形態的評価のみでは胚の質の評価に限界があります。胚のグレードは参考程度に、まずはご自身の胚の力を信じてあげてほしいと思います。

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