新年明けましておめでとうございます。

培養室のトワ子です。本年もどうぞ宜しくお願いします。

昨年は、日本にとって大変な年でした。被災された方々にとっては、まだまだ大変な日々が続いていると思います。地震にあっていない西日本に住む私たちにとっても、いろいろと考えさせられる、とても苦しい年でした。

この先、日本がどういう方向に進んで行くのかはまだわかりません。が、きっと私たち一人ひとりの意識の重なった方へ行くのだろうと思っています。

自分ひとりの思いなんて、小さいことかもしれませんが、少しでも良い方向へ進みますように、少しでも被災された方々の苦しみが無くなりますように、今年一年を祈願しました。スタッフ一同心よりお祈り申し上げます。


1032.jpg

こんにちは、培養室のトワ子です。今回は精子の凍結についてのお話です。

精子を凍結する場合は、卵のような細かい操作は必要ありません。

核の詰まった精子頭部の細胞質には、卵子と違って水分が少ないため、凍結・融解によるダメージが少ないのです。なので、精子の凍結方法は、凍結保護剤と精子浮遊液を混和させた後、液体窒素の気化蒸気層で静置後、液体窒素中に投入するだけで、完了です。

しかし、やはり凍結・融解により運動精子の数は減ってしまいます。精子の運動能は、精子の鞭毛により行われていますが、精子の核のある頭部は凍結に強くても、この鞭毛運動は凍結融解により影響を受けやすいのかもしれません。
凍結時にスライドで、簡易的な耐凍試験を行うのですが、平均耐凍率は、割といったところです。融解後にまた良好精子を集めるために精製するので、最終的に凍結・融解後に回収される良好運動精子は、凍結時の2割ほどに減ることになります。なので、通常の精子振りかけの体外受精を目的とした凍結を行っても、融解したら運動精子が減って、足りなくなってしまい、顕微授精を行うことになる、といったことが多々あります。ただ、集まった運動精子は、染色体や受精能などは、通常の新鮮精子と変わる事はありません。

SANY0074.JPGこういう液体窒素の入ったタンクの中で、凍結された胚や精子は、保存されています。

こんにちは、トワ子です。今回も、凍結のお話です。

現在は、卵の凍結は、超急速冷凍法で行っています。10年ほど前までは、23時間かけてゆっくりと温度を下げていく緩慢法という方法で行っていたのですが、今は卵の細胞内の水分を耐凍剤にチェンジしたら、-196℃の液体窒素に投入して、おしまいです。時間的にも、すべての操作が15分程度で終わってしまいます。しかも、卵の生存率はとても高く、ほぼ100%に近いです。

ただ、そんな中でも、たまにダメージが出て、残念ながら移植ができなくなってしまうこともあるのですが、そんな周期の卵は、もともと生命力が弱く、着床出来ない胚だったのかも知れません。

また、移植胚で、何分割かのうち、ダメージがでた割球があったとしても、他の割球が生存していれば、それらが進んで行って、妊娠に至ることもあります。

SANY0073.JPGのサムネール画像


SANY0083.JPG

こんにちは、トワ子です。今回は、凍結のお話です。

生物は、ただ凍らせると死んでしまいます。細胞は、凍るとなぜ死ぬのでしょうか?ペットボトルに水を詰め込んで冷凍すると、ペットボトルは膨らんで、フィルムが破れたり、ボトルにヒビが入ったりしますよね。水は氷になると体積が増えるからです。

細胞の中の水分もしかり。水分が凍って、細胞を破裂させてしまうのです。

寒い気候に生息する生物は、その細胞内の水分が氷となって、細胞を破裂させるのを防ぐため、糖やグリセリンといった小さな不凍物質を、細胞内に詰め込んでいます。卵子や精子の凍結の研究のもとは、それら生物の不凍物質を参考に始まりました。なので、糖で細胞のまわりの浸透圧を高めて、細胞の中の水分を抜き、水分のかわりに、凍らないグリセリンを入れてあげる。これが、凍結の基本的な考え方です。

次回に、現在行っている胚の凍結の方法などを、お話しますね。

1.jpg

こんにちは、トワコです。今回は、IVFのお話ではありませんが、許して下さい。

先日、大学生になる娘と2人でグアムに行ってきました。なんと、娘のアパートの賃貸契約でグアム旅行が2人分あたったのです。久しぶりに海外旅行をしたのですが、海外という感じしなかったです。グアムでは、旅行者の9割が日本人ということで、どこへ行っても日本にいるように、日本語OKで、言葉に関しては、なに不自由もありませんでした。

それにしても、常夏の国ですね。暑かったです。でも、久しぶりの気分転換になりました。皆さんも、写真だけですが、少しでも癒されます様に。

CIMG1238.JPGのサムネール画像CIMG1221.JPGのサムネール画像CIMG1177.JPG

こんにちは、トワ子です。

今回は、異常受精のお話です。正常な受精卵は、以前にもブログの中で紹介したように、細胞質に2個の前核が見えるものをいいますが、この前核が3個以上見えるものを異常受精といいます。

このような異常受精卵は、分割し、例え胚盤胞になったとしても、移植はしていません。ほとんどが、染色体異常胚だからです。

なんでこんな事になるかというと、精子ふりかけの、通常体外受精の場合は、精子が多く入りすぎたために起こることが殆どです。通常なら、1匹の精子が入ったら、卵子がもうそれ以上精子が入れないようにブロックするのですが、精子数が多すぎて、そのブロックが間に合わなかったり、ブロック機能が弱い卵子等に、こういうことが起こります。

この場合は、次回から精子数を減らして媒精したりすることで、再発を防げますし、ブロック機能の弱い卵子というのは、自然の排卵でもたまに出て来るので、次回もそうなるとは限りません。

じゃあ、ICSIは1匹の精子しか入れてないのに、なんで異常受精になるの?と、思われますよね。ICSIでの異常受精の原因は、核が2分割化したものと、第2極体放出不全の、二通りの原因が考えられています。聞きなれない名前ですよね。

核が分裂した場合は、染色体数は正常なことが多いのですが、やはり、流産率が高いことを考え、移植は行っていません。第2極体放出不全というのは、精子が卵に入った時に、細胞質の外に出るはずであった染色体の半分が、細胞質内に残ってしまい、結果、3倍体となってしまうことです。この場合は染色体数が多いので、これも移植はできません。以下に、説明の絵を示しますね。

7251.jpgのサムネール画像

7252.jpg

核の分裂は、胚の質に問題があるとされ、第2極体放出不全は、年齢による卵子の老化によりおこるとされています。結局は、卵子の質、ということになってくるのですが、もちろん、毎周期の発育している卵胞は異うので、毎回同じような卵子が採れるとも限りません。

また、大事なことは、普段からの健康的な食事や、ストレスのない生活で、卵子の質も変化してくるということです。食事での卵子に必要な栄養素を取り入れ、ストレスで起きる、血行不良や酸化的ストレスを取り除いてあげることが、とても大事なことなんです。

そして、卵巣刺激の工夫や、サプリメントの服用などで、質のよい卵子にしていくことも、ある程度は可能なのです。

こんにちは、トワ子です。これまでのブログで、体外受精の概略的なことをお話してきました。これからは、もう少し突っ込んで、皆さんの疑問に思われるであろうことを、なるべく分かりやすく、説明して行きますね。

まずは、受精障害についてです。

 

外見上、卵子も精子も異常無さそうなのに、体外受精を行って、全く受精の見られないことがあります。この場合、受精障害を疑うことになります。

患者さんの中では、採卵して、いくつか採れた卵子すべてが受精しなかった時、培養室のほうから、卵子と精子の相性が悪かったのかも知れませんね、と言われたことがある人もいるかもしれません。

一口に受精障害と言っても、原因は、精子、卵子のそれぞれに存在し、その内容も多義にわたります。次に、体外受精での受精障害の、考えられる原因をあげて行きますね。

765.jpgのサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像

 

精子が卵子の透明帯に接着できない

精子が透明帯を通過できない

精子が卵子の細胞質に取り込まれない

精子が卵細胞質の中に入っても、卵子を活性化できない

卵子自体がまだ未熟なため、精子が入って来ても反応できない

酸化ストレスなど様々な理由により、卵細胞の質の低下がおこり、受精の反応を(前核を)発現できない

以上のように、精子が卵子に入り込む間にも、いろいろな過程で障害が起こっている場合があり、それぞれの障害の理由は異なります。

このうち、①〜③の原因の場合、ICSIにより受精を得ることができます。

また、⑤〜⑥の場合も、卵巣の刺激方法を工夫したり、サプリメントの服用などにより、改善できることもあります。卵巣の反応は、患者さんひとりひとりが、また、周期によっても異なってきますので、ドクター達は、卵巣刺激法を日々模索し、苦労を重ねています。

なので、体外受精で受精が見られなかったからといって、全くこの先見込みが無い訳ではなく、本当に厳しい人は、④の原因のかたのみであり、こういう症例はごく僅かしかいません。

一度の体外受精で受精が全くなかったら、ショックを受けるかもしれませんが、⑤⑥のことも多いので、2回目では受精するということも多々あります。もちろん、今までちゃんと受精してたのに、今回は受精しなかった、ということもあります

以上より、受精障害を疑われた場合は、次回は何が何でもICSIというわけでもなく、複数個卵子が採れた場合は、体外受精とICSI2通りでされてみるのもいいと思いますよ。

射出精液に精子が認められない場合、直接精巣から組織を取り出して、そこから精子を探し出す方法があります。精巣内精子回収法(testicularsperm extraction: TESE)とよばれています。

TESEは、陰嚢を0.51.0cmほど切開し、精巣内部の精細管と呼ばれる組織を採取し、これを細かく砕いて培養液にて洗浄、濃縮して精子の有無を調べます。

下の写真は、その濃縮液です。精子や、精子になる前の細胞がみてとれます。

精巣の中から直接精子を取り出すので、動いてないと思われがちですが、ちゃんと運動能力があって泳いでいるんですよ。ただ、精巣上体を通過していないため、卵透明帯通過能や卵細胞膜融合能を伴わないと考えられ、ICSIが行われます。

223.jpgのサムネール画像
麦が実り、収穫を迎える時期を、「麦秋」と表現します。
中学生の時にこの言葉を学んで以来、好きな言葉のひとつです。
小松は麦の栽培が盛んな地で、当院の周辺にも麦畑があります。
今がまさに、麦秋の時期です。
収穫直前の麦畑は、見事な黄金色に色付き、穂が風になびく様は
壮観です。実に美しく、気持ちを和ませてくれます。



IMG_0137.JPGのサムネール画像

PB280116.JPGのサムネール画像のサムネール画像

1992年、ベルギーのpalermoらは、ヒトで初めて、顕微授精(ICSI)による挙児を成功させました。以来、20年近くを経て今では、ICSIは不妊治療において無くてはならない技術となっています。精子の少ない方や、受精障害が原因で不妊となられている方には、ICSIが適応となります。

ICSIでは、通常の媒精方法に比べ精子の、受精能獲得から卵透明帯を通過するところまでのプロセスを飛ばして、精子と卵子を直接融合させることになりますが、その後の受精以降の過程はどちらも同じ道を辿ります。

下記に当院での受精率を記します。

[当院での受精率]・・・conv:通常の媒精 ICSI:顕微授精

11111.jpg




カテゴリー
アーカイブ