こんにちは、培養室のトワ子です。今回は精子の凍結についてのお話です。
精子を凍結する場合は、卵のような細かい操作は必要ありません。
核の詰まった精子頭部の細胞質には、卵子と違って水分が少ないため、凍結・融解によるダメージが少ないのです。なので、精子の凍結方法は、凍結保護剤と精子浮遊液を混和させた後、液体窒素の気化蒸気層で静置後、液体窒素中に投入するだけで、完了です。
しかし、やはり凍結・融解により運動精子の数は減ってしまいます。精子の運動能は、精子の鞭毛により行われていますが、精子の核のある頭部は凍結に強くても、この鞭毛運動は凍結融解により影響を受けやすいのかもしれません。凍結時にスライドで、簡易的な耐凍試験を行うのですが、平均耐凍率は、5~6割といったところです。融解後にまた良好精子を集めるために精製するので、最終的に凍結・融解後に回収される良好運動精子は、凍結時の2割ほどに減ることになります。なので、通常の精子振りかけの体外受精を目的とした凍結を行っても、融解したら運動精子が減って、足りなくなってしまい、顕微授精を行うことになる、といったことが多々あります。ただ、集まった運動精子は、染色体や受精能などは、通常の新鮮精子と変わる事はありません。